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テレワークは「善」なのか?「悪」なのか? その1

松田 幸裕 記


国土交通省より、2024年度の「テレワーク人口実態調査結果」が公表されました。

過去の投稿「「with/after コロナ」におけるワーク・フロム・ホームを考える その1~その8」などでテレワークについて考察してきましたが、改めて最近の状況を理解し、考察してみたいと思います。

テレワークは減少傾向

この傾向を感じている人は多いと思いますが、思い込みはいったん捨てて、データで見てみたいと思います。まずは前述の「テレワーク人口実態調査結果」から。下図が全体像を一度に把握できる最適なグラフだと思いますので、引用します。

テレワーク実施頻度(雇用型就業者)
国土交通省 「令和6年度 テレワーク人口実態調査結果」より

コロナ禍をきっかけにテレワークが浸透しましたが、コロナ禍の落ち着きとともに徐々にテレワークは減少傾向にあることがわかります。

もう一つ、公益財団法人 日本生産性本部が公開している「第16回 働く人の意識調査」からも引用したいと思います。

テレワークの実施率
公益財団法人 日本生産性本部「第16回 働く人の意識調査」より

こちらを見ても、やはり減少傾向にあるようです。

また、日本のみでなく海外も含め、大企業にて続々と「テレワーク廃止」のニュースが流れているため、テレワークが減少傾向にあることは間違いなさそうですね。

テレワークの利用希望は?

企業として「テレワーク廃止」または「テレワークの頻度を下げる」という動きがあることは理解できましたが、企業で働く人たちの意思はどうなのでしょう。これもデータで見てみたいと思います。

直近1年間のテレワーク実施状況(テレワーカー)
国土交通省 「令和6年度 テレワーク人口実態調査結果」より

図の右下にある「直近1年間テレワーク未実施」でのテレワーク実施意向が36%と低いのは少し驚きましたが、、、本投稿のテーマはテレワークの減少傾向についてなので、その左上にある「直近1年間テレワーク実施」でのテレワーク実施意向に着目します。約80%の人が今後もテレワークを実施したいと思っているようです。

今後もテレワークを行いたいか
公益財団法人 日本生産性本部「第16回 働く人の意識調査」より

こちらを見ても、やはり「今後もテレワークを行いたい」と思っている人は多いようです。

ちなみに、当社では「月1回程度会社に来るか来ないか」くらいのほぼフルリモートですが、今のところ「やっぱり出社する形に戻そう」、「週1回くらいは出社する形にしよう」などの意見はまったく出ていません。(私も含め)みんな、テレワークは何かと快適のようですね。

企業としての事情は?

テレワークを望む声は多いのに、企業としてはテレワーク廃止の動きをとっています。やはりこれには、それ相応の事情があるようですね。検索すると色々な記事に載っていますが、集約すると以下でしょうか。(「コロナ禍が落ち着いたから」というのは理由から除外しています。)

  • コミュニケーション不足
  • 人事評価が困難

これらの問題は、皆さんも納得感があると思いますので、説明は割愛させていただきます。確かに、何も工夫しないでテレワークに突入すれば、これらの問題は起こりますよね。

私自身、IT屋として「やっぱりテレワークはよくないね」と思いたくない、簡単に認めたくない、という気持ちがあります。もちろんFace to Faceにおける利点は理解していますが、テレワークができることによって、都市への人口集中の緩和にもつながるかもしれませんし、介護や育児をしながら会社勤めをしやすくなりますし、適切に使うことによりいろいろな可能性が見えてくるものだと思います。

本投稿は長くなってしまいましたのでいったん終わりとしますが、次回以降ではテレワークによる課題について考察し、改善点を見出していきたいと思います。


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  • テレワークは「善」なのか?「悪」なのか? その2(近日公開)