松田 幸裕 記
前回の投稿「ノートPC/スマートフォンのバッテリー寿命を延ばすには? その1」では、バッテリーを長持ちさせるためのいくつかのノウハウを整理しました。本投稿では、見解が分かれそうな「電源ケーブルを繋げたままにして利用すべきか?」というテーマに触れていきたいと思います。
充電しながらノートPC/スマートフォンを使うことによる問題
「充電をしながらスマートフォンを使用することは避けるべき」という話は、いろいろなところで書かれています。これは、「リチウムイオンバッテリーは熱に弱い」という特性によるものです。そのような特性があるというのは事実でしょうから、例えば「スマートフォンの充電をしながら負荷がかかる動画を見る」などは避けた方がいいでしょうね。
ただ、ノートPCの場合はそうもいかないことが多いのではないでしょうか。例えば、取引先に訪問してPCを利用し、会社に戻って仕事を再開するというよくあるシーン。このような時はどうしても、「充電しながらノートPCを利用する」となってしまいます。ここで「充電しながらPCを使わないようにしなきゃ」と意識するのは大変なので、ある程度このようなことがあることは許容しなければいけないでしょうね。
例えば、私が使用しているDynabook PCの取扱説明書を見てみると、バッテリーが高温(45℃以上)の状態になるとバッテリーの充電量を減らすような機能が備わっているそうです。その時は電源のランプが白色の点滅になるそうで、私はランプがその状態になるのを見たことがありませんが、最近のノートPCでは充電しながらノートPCを利用しても問題にならないよう配慮する機能が備わってきているのだと思います。
充電が完了している時、PCへの電力はどこから供給されるのか?
電源ケーブルが繋がっていて、充電が十分に行われた状態では、PCへの電力はバッテリーから供給されるのでしょうか、それともバッテリーを介さず電源ケーブルから直接供給されるのでしょうか。もし「PCへの電力は電源ケーブルから供給される」のだとすると、その間はバッテリーを使わずに済んでいるということになり、前回の投稿「ノートPC/スマートフォンのバッテリー寿命を延ばすには? その1」の「節約すれば寿命は延びる」の章で書いた通り、バッテリーを長持ちさせることにつながります。
この辺りは見解が分かれそうです。いくつかのWebサイトでは、「電源ケーブルを繋げたままPCを利用すると、充電と放電を一緒に行うことになり、著しくバッテリーを消耗させてしまう」というような話が書かれていて、電源ケーブルを繋げたままの利用に否定的です。一方で、例えばDell社の「デル ノートパソコンのバッテリー - よくあるお問い合わせ(FAQ)」では、「Dellノートパソコンは、バッテリーが完全に充電されると充電を停止するよう設計されています。バッテリーが完全に充電されると、DellノートパソコンはACアダプターから電力を使用し続けます。」と書かれていて、電源ケーブルを繋げたままの利用に肯定的といえます。
見解が分かれているため、後は各個人がどう判断するかということになってしまいますが、私は後者の電源ケーブルを繋げたままの利用に肯定的な方の情報を信じています。Dell社の公式ページに書かれていてその他の多くのPCもそのような仕様だろうと思っているというのも理由の一つですが、「各メーカーがPCの電源周りの設計を行ううえで、電源ケーブルを繋げた状態でもバッテリーから電力を供給するような、そんな作りにするはずはない」という気がしているためです。
結論:私のノートPC利用方法
以上の情報を踏まえ、まとめたいと思います。私は先日からDynabook PCを使用し始めましたが、本PC特有の機能も使いつつ、以下のように使用していこうと思っています。
- 70%充電モード
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- テレワークが多いため基本は「dynabookセッティング」にて「70%充電モード」にし、PCを持ち出すことがある際はその前に100%に切り替えてフル充電してから持ち出そうと思います。
- 電源コードは繋げたままPCを利用
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- 前述のとおり、私は電源コードを繋げたままの利用の方がバッテリーの寿命を長くできると考えています。
- ダークモードにし、「コンテンツに基づいて明るさを変更する」を有効化
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- 前回の投稿「ノートPC/スマートフォンのバッテリー寿命を延ばすには? その1」では「ダークモードは電力消費を削減できない場合がある」という話を書きましたが、Windows 11の設定画面で「システム」→「ディスプレイ」→「明るさ」の「コンテンツに基づいて明るさを変更する」を有効にすることで、ダークモードにした際の節電効果も得られることがわかりました。よって、この機能を活用したいと思います。
余談:Windowsでのバッテリー性能確認方法
Windowsでコマンドプロンプトを起動し、「powercfg /batteryreport」を実行すると、バッテリーに関するレポート出力が行われます。バッテリーの劣化状態は、このレポートにある「DESIGN CAPACITY(おそらく初期状態の充電容量の理論値)」、「FULL CHARGE CAPACITY(現時点の充電容量)」の値で確認できます。ちなみに私のPCでは以下のような値でした。
- DESIGN CAPACITY 56,056 mWh
- FULL CHARGE CAPACITY 58,258 mWh
まだ使い始めの新しい状態のため、FULL CHARGE CAPACITYの方が高い値を示しています。これから徐々に減っていくと思いますが、ちょうど1か月前に出力したレポートと比較すると、ここ1か月間の減少率は0.1%未満だったため、今の使い方をしている限りあまり劣化はしていかないのかもしれません。
ちなみに、私がつい最近まで2年半ほど使っていたLonovo PCは以下でした。
- DESIGN CAPACITY 41,000 mWh
- FULL CHARGE CAPACITY 41,460 mWh
2年半使っていて、DESIGN CAPACITYよりFULL CHARGE CAPACITYの方が高いことに驚いています…。外出での利用は少なく、電源コードをつなげたままの利用が多かったのですが、こういう使い方だとあまりバッテリーは劣化しないのかもしれませんね。
2回に分けてバッテリーの話に触れてきました。今回いろいろと調べてみて、新たな気づきが多くありました。どのようなテーマにおいても、「そういうもの」と思いこまず、たまにはこのように深堀りしてみるといいですね。
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