· 

ノートPC/スマートフォンのバッテリー寿命を延ばすには? その1

松田 幸裕 記


先日、ノートPCとスマートフォンを買い換えました。

買い換えたとき、「このデバイスのバッテリーはより長持ちさせたいな」と思うのは、私だけではないはず。でも、バッテリーを長持ちさせる方法は、なんとなくわかっているようでわかっていない人が多いのではないでしょうか。

本投稿では、今まで「多分こうだろう」と思っていた先入観をいったんクリアして、自身でいろいろと調べたことを整理してみたいと思います。

節約すれば寿命は延びる

まずは当たり前と思える部分から始めます。リチウムイオンバッテリーの寿命は数百回と言われていますが、この「1回」の定義は「残量を0%から100%にする(100%分充電する)」であり、例えば「30%から80%にする(50%分充電する)」を2回行った場合も「50%×2回=100%」となるため、2回ですが1回とカウントします。

このことを考えると、当然ながら「使わなければ寿命は延びる」となるため、例えば「使っていない時間はPCをシャットダウンする」、「不要なアプリケーションをバックグラウンドで起動したままにしない」などの対策はバッテリーを長持ちさせることにつながると考えられます。

フル充電の状態、残量ゼロの状態のいずれも避ける

これも、よく情報としては目にしますよね。フル充電の状態、残量ゼロの状態のいずれも、バッテリーに負荷を与え寿命を短します。

かつて使われていたニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池は、残量をゼロにしてフル充電した方が長持ちすると言われていましたが、最近使われているリチウムイオン電池はそうではありません。「残量をゼロにしてフル充電」はあまり行わない方がいいでしょう。

PCメーカーによって異なりますが、「80%充電モード」などの機能が付くようになってきましたね。このような機能がある場合は、活用した方がよいでしょう。また、例えばiPhoneなどは「バッテリー充電の最適化」機能があり、例えば夜に充電した際に、次にiPhoneを使い始める明け方まで80%を超えないように調整して、フル充電されている状態を短くするような工夫をしてくれます。この機能も有効活用したいですね。

画面の明るさは単純に暗ければいいわけではない

上記の「節約すれば寿命は延びる」で書いた通り、電力を使わなければバッテリーの節約につながり、寿命も延びます。そのため、画面のPCやスマートフォンの設定で画面の明るさを必要以上に明るくしないことで、バッテリーの寿命が延びることになります。

ここまでは「そりゃそうだよね」という話ですが、以下は私が勘違いしていたことなので、ご紹介しておきます。例えば「ダークモード」などで黒を基調とした画面構成にした場合、暗くなって光の量が少なくなるため、バッテリーの節約につながると思いますよね。実はこれ、バッテリーの節約につながるディスプレイとつながらないディスプレイがあります。

最近のスマートフォンや最新のノートPCの一部で使われている有機ELのディスプレイ、また、TFT液晶の中でも一部で使われているVA方式/IPS方式のディスプレイでは、黒い画面を表示する際に電力を使わなくなるため、ダークモードによりバッテリーの節約につながります。一方で、TFT液晶の中でも主流のTN方式は黒の表現方法が異なり、「バックライトで全画面を明るくしたうえで、黒い部分は液晶分子を使用して光を制御する」という方法をとっています。よって、何色だろうがバックライトで全体を明るくしているためその分電力を使い、黒い部分は抑制する分微妙に追加の電力を使ってしまうそうです。

有機ELのディスプレイか否かはカタログスペックとして確実に記載されているため識別しやすいですが、TFT液晶のTN/VA/IPSの識別は難しそうです。おそらくVA/IPSはスペックを見るとその表記があり、表記がないものがTN方式と思ってよいと思います。私のノートPCはおそらくTN方式のため、ダークモードは電力の節約ではなく目の疲れを軽減させるためだけに使おうと思います。

こうやって書いていると、結構なボリュームになってしまいますね…。まだ書きたいことはありますが、長くなってしまいましたので、残りは次回にしたいと思います。

調べてみると、改めて知ることが結構あったり、実は間違っていると思われることがまことしやかに語られていることがあったりします。聞きかじった情報を鵜吞みにすることなく、何が真実なのかを自身で調べ、考えることが重要だと改めて感じた次第です。