松田 幸裕 記
最近、ニュースや情報場組で「インフルエンザ感染が拡大!」、「感染者数が過去最高に!」などの話題が取り扱われることが多くなっています。確かに、周囲を見ても感染者数が多くなっているのを感じますよね。ただ、ニュースや情報番組では「昨年との比較では…」など、深刻さをより強調しようとするグラフを見せてくるため、いまいち実態がわかりづらくなっています。本投稿では、データで実態を把握しつつ、原因と対策を今までの学びから探ってみようと思います。
データで見るインフルエンザ感染状況
厚生労働省から公開されている「インフルエンザに関する報道発表資料」に、10年以上前からの感染状況の推移を読み取れる情報がありました。ただ、状況をわかりやすく示しているグラフがないため、この公開情報を基にわかりやすい形でグラフ化してみました。
インフルエンザ 定点当たり報告数の推移(厚労省からの情報を基にグラフ化)
2020年以降のコロナ禍の時期と比較しても実態がつかみづらいため、このグラフでは2018~2019年のシーズン以降でグラフ化しています。これ以前の数年間を見ると、似たような傾向ではあるものの2018~2019年のシーズンが最も感染者数が多かったようですね。このシーズンが最高レベルということで一つの指標と考えます。
2024~2025年のシーズンは現時点で12月29日までの情報が公開されていますが、最新の12月23日~29日の発生状況がすごいことになっています。確かに、1週間単位の集計で過去最高の発生状況になっていますね。また、例年より数週間早めに感染が拡大しているようです。ここから年末年始に入るため、いったんデータとしては感染が落ち着くと思われますが、ここからどのような状況になっていくかはウォッチしていく必要がありそうです。
感染拡大の原因は?
なぜこれほどまでに感染が拡大してきたのか?という理由はいくつかあると思います。ニュースや情報番組で見る限りでは、「現在広がっている株の感染力が強い」、「インフルエンザへの免疫力が低下している」などがあるようですが、、、個人的には、今まで学んできたことから考えると別の理由の方が大きいような気がしています。
それは、「具合が悪いのに出歩いてしまっている人が多いから」という理由です。
コロナ禍で学んだと思いますが、インフルエンザは新型コロナと異なり、症状が出てから感染力が増すと言われています。そのような傾向があるため、「具合が悪くなったら人にうつさないようにするために外出しない」ということをすれば感染拡大を防げるはずですが、周囲を見ている限りは、具合が悪くても外出している人が多いように思います。
実効再生産数から考える対策
よく、「感染を防ぐのは無理だよ。家には家族もいるし、人に会わないということはできない。」などという人がいますが、こういう話の時にはつい、「たった一人にもうつさない」ということをイメージしてしまって「無理…」と考えてしまいがちです。コロナ禍の時に何度も聞いた「実効再生産数」という用語を思い出してほしいのですが、要は「1人が何人に感染させるか」を1.0未満にすれば、感染者数が増えていくことはなくなります。「1人が1人未満に感染させる程度に留める」であれば、「無理」ということはないですよね。
せっかくコロナ禍でいろいろなことを学んだのに、すっかり忘れてしまっているような気がして、悲しい限りです。個人としては「具合が悪くなったら人にうつさないようにするために外出しない」、「感染していない人より、感染している人が不織布マスク着用を徹底する」などがありますし、企業としてはリモートでの業務ができるようITを充実してきたわけですから、「少しでも具合が悪いと感じたらリモート勤務するよう周知徹底する」などができると思います。
コロナ禍で学んだことを、ぜひ今後に活かしていきたいですね。