松田 幸裕 記
皆さんは現在、テレワーク(ワーク・フロム・ホーム)をしていますか?
新型コロナが落ち着いた現在、ほとんどの企業がテレワークから出勤に切り替えているような感覚が私の中ではありますが、実態はどうなのでしょうか。データと向き合いながら、振り返ってみたいと思います。
令和5年度 テレワーク人口実態調査より
国土交通省が公開している、「令和5年度 テレワーク人口実態調査」を見てみたいと思います。
直近1年間のテレワーク実施率
2021年(令和3年)~2023年(令和5年)の傾向を見ると、やはりテレワーク実施率は下がっていますが、私が前述したような「ほとんどの企業がテレワークから出勤に切り替えている」というほどではないようですね。これとは別で企業規模別のグラフもありましたが、それを見ると1,000名以上の規模の方が「コロナ禍でテレワーク実施率が大きく増え、コロナ禍後に大きく減る」という傾向が顕著に見られました。弊社は概ね1,000名以上の企業とお付き合いしているため、この感覚の違いが生じたのかもしれません。
テレワーク実施希望頻度と現状の実施頻度
現状と希望を見比べてみると、従業員の希望としては「もっとテレワークの頻度を増やしたい」ようですね。ということは、テレワーク可能な業務でも、「テレワークは増やしたいが増やせない」という会社としての事情があるようです。本調査でも考察はされていますが、ここからは私の観点で理由を深掘りしてみたいと思います。
出勤に切り替える理由①:コミュニケーションがとりづらい
本調査にもありますが、テレワークには「コミュニケーションがとりづらく、業務効率が低下する」というデメリットがあります。私から見ると、このデメリットについて部分的には納得できますが、納得できない側面もあります。
企業でのリアルタイムでない(対面や電話、Web会議以外の)コミュニケーションとしては、メールやチームコラボレーションツールなどがあります。このツールの使い方を見ている限り、「返信は遅くてもいい」という文化のようなものがあり、「返信は2~3日後でもいい」、「返信はしなくてもいい」と思っている人も結構な割合でいるような気がしています。
このような非同期コミュニケーションの効率が極端に悪い環境のままテレワークを開始しても、確実に「テレワークだとコミュニケーションがとりづらい」となります。そのような場合に非同期コミュニケーションの問題を改善することなく、テレワークの問題だと解釈してしまうことには、少し疑問を感じてしまいます。
出勤に切り替える理由②:勤務状況が見えない
テレワーク可能な業務でも、「テレワークは増やしたいが増やせない」というのは、会社側の都合として「本当に皆が在宅でちゃんと働いているのかがわからない」というのがあるのではないでしょうか。上記のコミュニケーションの問題もありますが、「在宅でサボっている場合が多く、全体の生産性が上がっていない」と考える経営側の人もいるのではないでしょうか。また、勤務状況が見えないことが「人事評価が難しい」という問題にも派生するため、勤務状況が見えないというのは大きい問題なのかもしれません。
beeliefでのテレワーク状況
当社は20人にも満たない小さな会社のため、皆さんの気づきにつながるかはわかりませんが、当社のテレワーク状況を共有したいと思います。
弊社では、テレワークの問題が皆無というわけではありませんが、今のところはほぼフルリモートで業務を続けています。まず一つ目の特徴としては、非同期・同期のコミュニケーション手段をうまく活用できていることが挙げられると思います。ミーティング中でない限り、コミュニケーションツールへの反応はできるだけ早く行うようにしています。
二つ目の特徴としては、人事評価にあると思います。当社では「得た利益は頑張って働いた証であり、頑張ったみんなのものである」という考えを持っていて、「人事評価は、利益をどう分配するかを決めるもの」であり、それを決めるために基本的に360度評価を重視しています。当社では「マルチチーミング」的に業務のアサインが行われており、1人だけでどこかに常駐するようなやり方をせずチームで仕事をします。チームで一緒に仕事をしていると、たとえリモートでもチームメンバーがどのくらいのパフォーマンスを出しているかがわかります。
チームメンバーからの評価が高ければ報酬も高くなるため(もちろん、チームに貢献したいという気持ちも合わさって)、力が入ります。パフォーマンスを出すために、コミュニケーションも「返信は2~3日後でもいい」などとは言っていられず、適切に行う必要があります。これらがすべてつながって、テレワークでも問題を最小化できているのだと思っています。
おまけ:Microsoft Places
Microsoft 365の一部として、「Microsoft Places」という機能がリリースされます。
テレワークと出勤のハイブリッドワークが増えている中、誰がいつオフィスにいるかをわかりやすくし、対面でのコミュニケーションを効果的に実現することができます。また、ハイブリッドワークの状況を分析し、改善することも可能になります。
このような機能も活用しつつ、今後もテレワークをうまく活用していけるといいですね。