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ブレークアウトルームのすすめ

松田 幸裕 記


ハーバード・ビジネス・レビュー 2023年3月号で、「チームづくりの原則」についての特集が組まれていました。その中で、「ブレークアウトルーム」(論文内では「ブレークアウトセッション」として表記)に触れられている論文があり、興味深かったため、本投稿でも考察してみたいと思います。

なお、ハーバード・ビジネス・レビューに書かれている詳細な内容はもちろんお伝えできないため、興味がある方はぜひ購入して読んでみてください。

ブレークアウトルームとは?

ブレークアウトルームについてはご存知の方々も多いと思いますので、簡単な説明に留めます。Microsoft TeamsやZoomなどのオンライン会議ツールに付属している機能で、会議に参加しているユーザーをいくつかの小さなグループに分け、少人数での活発な会話や効果的なブレインストーミングを促すものです。

どうでもいい話かもしれませんが…Teamsでは「ブレクアウトルーム」、Zoomでは「ブレクアウトルーム」と表記されています。カタカナ表記としてどちらを採用するか、悩ましいですね。本ブログでは、弊社におけるマイクロソフトソリューションの活用度合いが高いこと、一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会の「外来語(カタカナ)表記ガイドライン」などの記載より、「ブレクアウトルーム」の方を使います。

ブレークアウトルームの効果は?

ハーバード・ビジネス・レビューの内容、その他Web記事などを見る限り、ブレークアウトルームの効果としては以下のようなものがあるようです。

  • 大人数では発言しづらい、緊張してしまう人も、少人数では発言することができる。
  • 少人数では本音が言いやすく、ある意見に対する反対意見も出しやすい。
  • ブレークアウトルーム終了後、大人数になっても、発言のしやすさは持続する傾向にある。

私自身は意見を積極的に出すことが多いため、発言を躊躇してしまう人の気持ちをしっかり理解できているのかはわかりませんが、こういうツールがあることで少しでも意見交換が活性化されるのであれば、嬉しいことだと思います。

beeliefでの体験談

当社では、「人間に上も下もない。」、「誰もが意思決定できる。」という考え方のもと、日々様々な意思決定をしています。毎週行っている全員参加のオンラインミーティングで、提案者が「こういう課題を何とかしたい。こういう対策はどうか?」という提案を出し、皆でディスカッションし、合意、意思決定しています。

しかし、やはり積極的に発言する人と、そうでない人がいます。「他に意見はありますか?」と発言を促しても、消極的な人は発言を控えてしまう傾向にあります。そのような雰囲気のため、「皆で決めているといっても、実際は積極的に発言する数名のみで決めているのではないか?」という疑問が自身の中で生じることもあります。

そこで、当社でもブレークアウトルームを導入し、3名程度のグループに分けて意見を出し合う時間を設けるようにしています。まだ十分な傾向分析などはできていませんが、現状はブレークアウトルームのおかげで皆の本音に近い発言が増え、良い効果が出ていると感じています。

ブレークアウトルームの中で十分な「議論」を行おうとしてしまうと、10分あっても20分あっても時間が足りません。ブレークアウトルームの目的としては「議論してコンセンサスを得ること」より、「皆からの忌憚のない意見を引き出すこと」にした方が、効果的な議論ができそうです。

また、大人数でも積極的に意見を出せる人は、少人数になってもつい意見を言いすぎてしまい、消極的な人が意見を出すための時間を十分にとれない、という場合もあります。積極的なタイプの人は、ブレークアウトルームでは「傾聴」を意識することで、ブレークアウトルームの目的を達成することもできますし、その人の傾聴のスキルを磨くこともでき、複数のメリットを享受できるかもしれませんね。

皆さんもぜひ、合意形成や意思決定のツールとして、ブレークアウトルームを活用してみてください。