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「情報通信白書 令和4年版」から今を読む その1 ~人口の減少~

松田 幸裕 記


新型コロナウイルスの感染が拡大していますね。今週は今までより増加率が低かったようですが、その他のデータを見る限り検査が追い付いていないだけのようにも思えるため、まだしばらく拡大し続けるかもしれません。

医療の専門家の方々がピークの時期を予測したりしていますが、これは人間の心理と行動の問題であり、それを予測するのは難しいでしょう。十分なデータが採取できておらず、具体的な感染拡大の原因もわからないため、ピンポイントでの対策も困難です。大阪府では高齢者の外出自粛要請が出されていますが、高齢者からすると納得できない点もありそうですね。どちらにしても、適切な対策が講じられない今、各自が正しいと思う対策をしていくしか手はなさそうです。

本題に入ります。総務省より、「情報通信白書 令和4年版」が公開されました。本投稿から数回に分けて、本資料から各種テーマをピックアップして考察してみたいと思います。まず本投稿では、日本における人口とITの関係について、触れてみたいと思います。

生産年齢人口の減少

日本における過去、現在、未来の人口の推移を示すグラフが載っていました。総人口としては、2010年の1億2,800万人をピークに減少傾向となり、予測では2065年に8,800万人にまで減少するとのことです。

高齢化の推移と将来推計

各年代の人がバランスよく存在すれば問題ないですが、今後の人口減少の中では高齢者の割合が増え、生産年齢人口の割合が減っていくため、年金の問題や人材不足の問題などが今後懸念されます。総人口に占める生産年齢人口の割合を計算してみると、ピークは1965~2000年で67~69%となっており、そこから徐々に減少し、2021年ではグラフに書かれている通り59.4%、そして2065年では51%にまで減少します。

総人口に占める生産年齢人口の割合が減少すると、その減った分の労働力を補う必要があります。外国人の力を借りる、ITによる自動化などの手段もありますが、「働きたくても働けない」人達の力を借りるという点も重要だと思います。以前の投稿「「働き方改革」を再考する その3 ~国内出生数90万人割れの現実とどう向き合うか~」でも触れたことがありますが、平成26年版情報通信白書に「女性におけるライフステージの理想と現実」という説明があります。自身の子供が4歳以降になってくると、「家でできる仕事」や「短時間勤務」の希望は高まっている傾向にある一方、現実は希望通りの働き方ができていない状況にある、とされています。

女性のライフステージの希望と現実

接客業や工場など、その現場へ行かないと仕事ができないという状況は別として、実は自宅でもできるという仕事は多いと思います。育児や介護などと仕事の両立を実現するために、ITの力を駆使し、リモートでも円滑にコミュニケーション・コラボレーションを行える環境をつくっていくことが、重要ではないかと思っています。

地方における少子高齢化

「地方における人口減少と高齢化の進展は顕著であり、2045年には、65歳以上人口の割合は、首都圏で30%台であるのに対し、地方では40%を超えると予測されている」と書かれています。地方では十分に仕事がないため、仕事を求めて首都圏などに人が集まり、その結果地方における少子高齢化が進んでしまう、という原理ですね。

どこまでの効果があるのかはわかりませんが、前述のとおり、リモートでもできる仕事であれば地方にいながら働くことが可能になります。ヤフー株式会社やNTTグループは今年に入り、国内であればどこに住むことも可能になるよう、制度を変更すると発表しました。このような制度を全社的に導入できる企業は少ないかもしれませんが、このような活動が地方における少子高齢化問題の解決に少しでも寄与するのであれば、積極的に行っていきたいですね。

弊社もかなりテレワーク率が高いですが、顧客企業を支援する中で、どうしても訪問して作業しなければいけないシーンが出てきます。高い頻度で訪問しなければいけない人は「どこに住むことも可能」という恩恵を受けられず、そうでない人のみ恩恵を受けられるような不公平は是正しなければならず、まだその整備が十分に整っていません。まだ「これだ!」という公平な制度が生み出せていませんが、諦めずに、試行錯誤しながらでも行動に移していきたいと思っています。