松田 幸裕 記
日本で再び新型コロナウイルスの感染者数が増大しています。原因としてBA.5の広がりがあると言われていますが、感染者数とBA.5の割合を数字で照らし合わせて見ると、どうもBA.5は理由のうちの一つでしかなさそうです。
マスク着用などの対策をあまり行っていない他国では大変な状況になっているのでは?と思い、他国の状況を見てみると、そうでもないようです。例えば米国では最近の新規感染者が1日10万人程度で安定して推移しています。米国の人口は日本の3倍程度のため、同じ人数で考えると米国の新規感染者数は日本の1/3程度ということになりますね。対策の緩い米国では感染者数が増えず、米国より対策の厳しい日本で感染者数が増えている原因は何なのでしょう。
毎回波が来るたびに「なぜ増えたのか」、「なぜ減ったのか」を想像するだけで済ませてきてしまったため、未だに増減の理由がつかめず、的確な対策も打てない状況です。いつまでこれを続ければいいのか…悩ましいですね。
本題に入ります。ITは日々進化していて、人々に恩恵を与えています。自動化による効率化の向上、通信技術の進化による遠距離でのコミュニケーションの実現や働き方の柔軟性向上など、生活する人々や働く人々の役に立っています。
2010年代以降の第三次AIブームなどもあり、「コンピューターが人間を超える日」として、2045年問題が囁かれています。同じことを表す用語として、「シンギュラリティ」、「技術的特異点」なども使われていますが、ムーアの法則を更に発展させていくと、このくらいの時期にコンピューターが人間を超える、という論理であり、アメリカの発明家レイ・カーツワイルが提唱しています。
コンピューターと人間のどちらが優れているか?というのは、観点によってまったく異なります。すでにチェスなどではコンピューターが人間に勝っているため、そういう観点では現時点でコンピューターのほうが勝っています。また、以前テレビ番組でワイシャツをたたむ機械を見たことがありますが、ワイシャツをたたむのに一苦労しているコンピューターが人間より勝っているとは決して思えません。
様々な観点が入り混じる中で超えるか超えないかを議論していても解は出ないため、人間とコンピューターの優劣という話はここまでにします。それよりも、この大きな流れの中で社会的に懸念されることがいくつかあると思っており、以降ではその懸念点を挙げ、今後コンピューターと人間がどのように付き合っていくべきかについて触れたいと思います。
コンピューターがアンコントローラブルになること
自分たちが制御不能になるほどのものを作ってしまう、というのはおかしな話ですが、そのような話は今でも実際にあります。代表的なのは原発です。使用した後の廃棄方法も見つかっておらず、地震などの災害で障害が発生した際に手が付けられないものを自らで作ってしまいました。
コンピューターもこのまま進化していき、規制のないまま放置してしまうと、自分たちが制御不能になるようなものを自らで作ってしまう、そういう時期が来る気がしています。
技術が悪用されること
AIの技術、ドローン、3Dプリンターなど、社会の役に立つ方向で利用すれば私たちへの恩恵につながりますが、悪い方向で利用されてしまうと私たちへの脅威になってしまいます。
長期的に考えると人間の倫理教育などを見直していく必要があると思いますが、短期的には「悪用される可能性を考慮した対策」が必要になってきます。最近になってドローンの登録制度が始まりましたが、がんじがらめの規制による技術進化の停滞が起こらないよう、かつ悪用が進まないよう適度にコントロールをしていく、という難しい舵取りが求められそうです。
雇用が奪われること
少し前の情報になりますが、2015年に英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が、「今後10~20年程度で、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクが高い」という分析結果を発表しました。それ以外にもWebを検索すると、「10年後になくなる仕事100種」など、技術進化とともに人間から機械やコンピューターに置き換えられていく仕事が多くなっていくことが示唆されています。
このような動きは今に始まったことではありませんが、今後はより高度な仕事も機械やコンピューターに置き換えられていくことが予想されるため、そのような仕事をしている人にとっては死活問題になります。
以前の投稿「日本におけるIT人材不足の原因を探る その1/その2/その3」では、人材不足を生じさせないための人材育成、成長が重要ではないかという話をしましたが、機械やコンピューターに雇用を奪われないようにするという意味でも、人間の成長が必要な気がしています。
企業を運営していくうえで、多くの業務を効率化・自動化していきたいという思いは理解できますし、私たちも試行錯誤しながら効率化・自動化を進めている1社です。
しかし、人類として上記のような問題に真摯に向き合い、効率化や自動化のみでなく従業員の成長や組織力向上も強く意識し、かつ倫理観も忘れずに、ITの適切な活用を支援していきたいと思っています。