松田 幸裕 記
今年のゴールデンウィーク、皆さんどのようにお過ごしでしょうか。今年は5月2日と6日を休みにできれば10連休になり、実際にそのくらい休まれた方も多いのではないでしょうか。私自身は5月2日と6日にいくつかのミーティングが入っていて、その他「時間があった時にやりたい」と思っていたことを行っていますが、それでもかなり休めて、リフレッシュできています。
コロナ禍で高速道路の渋滞や観光地の混雑などの問題から遠ざかっていましたが、久しぶりにこの光景が戻ってきましたね。しばらく聞かなくなった「休日の分散化」の議論も再開するのでしょうか。休日をどう過ごしたいかは人それぞれ異なるため、どの選択肢をとっても反対意見が多くなりそうで、簡単ではなさそうですね。
本題に入ります。2年前から始まったコロナ禍をきっかけに、在宅で仕事をする「ワーク・フロム・ホーム」を採用する企業が、世界中で一気に増加しました。それまでもワーク・フロム・ホームは少なからず採用されていましたが、コロナ禍によって半ば強制的にワーク・フロム・ホームを行わなければならなくなった企業は多いと思います。
前回の投稿「「with/after コロナ」におけるワーク・フロム・ホームを考える その6」にて、ワーク・フロム・ホームにおける現状と今後について、改めて考察しました。本投稿では、ワーク・フロム・ホームにおけるルール、規約面での課題について考えてみたいと思います。
不公平の是正
前回の投稿で、「8割の人が、コロナ禍収束後もワーク・フロム・ホームを行いたいと思っている。」という話に触れました。ワーク・フロム・ホームには、例えば以下のようなメリットがあります。
- 通勤時間の削減(例えば通勤に片道1時間かかる人は、完全なワーク・フロム・ホームにすると1日で2時間、1か月(20日勤務)で40時間の通勤時間削減になります。)
- 実費精算にすることによる社会保険料の節約(詳細は前回の投稿を参照してください。)
- テレワーク手当(企業によっては自宅での光熱費、通信費などを負担する意味で、手当を支給しています。)
やはり先頭に書いた「通勤時間の削減」は大きいですよね。報酬にも手当にも反映されない満員電車での苦痛な時間を、月に数十時間も削減できるのですから。しかし、多くの会社では「この仕事は会社・店舗・工場などに来なければできない」、「毎日お客様先に常駐で作業しなければならない」など、仕事内容によってはワーク・フロム・ホームをすることができない人もいます。その人たちから見ると、上記のようなメリットを享受できる人と自身を比較して、「なんで自分たちはその恩恵を受けられないの?不公平では?」という不満を持つかもしれません。
考え方によっては、ワーク・フロム・ホームをしている人に手当を支給するのではなく、ワーク・フロム・ホームをできない人に手当を支給する方が、理にかなっているかもしれませんね。もしかすると、今まで通勤時間は労働時間には含まれていませんでしたが、労働時間に含めるという考え方もありかもしれません。どちらにしても、このような不公平を是正する必要があると思っています。
遠距離通勤のルール
ワーク・フロム・ホームができるようになると、「会社との距離に縛られず、自身が好きなところに住みたい」というニーズも生じてきます。今までの「会社に毎日出社するのが当たり前」という前提での規程はできていると思いますが、「どこまで会社から遠い場所に住んでいいのか?」、「遠い自宅から会社や顧客先に移動する際、どこまで会社が費用負担すべきか?」など、ワーク・フロム・ホームならではの新たな基準を設ける必要性が生じてきます。
労働時間管理
在宅で仕事をすることで、育児や介護と会社の仕事の両立もしやすくなります。この場合、例えば「早朝に会社の仕事をして、午前中に子供を幼稚園に送り、また会社の仕事をして、午後に子供を迎えに行き、また会社の仕事。家族で夕食をとり、子供とお風呂に入り、子供を寝かしつけた後、また会社の仕事。」など、育児や介護と会社の仕事を行ったり来たりする場合もあります。このような場合の労働時間管理をどうするかは、難しい問題ですね。また、「子供を寝かしつけた後、また会社の仕事。」と書きましたが、それが22時以降になると、会社としては深夜残業の割増賃金を支払う義務があります。これをどう考えるかも難しいところですね…。
お恥ずかしながら、弊社もまだこれらの解を出せておらず、少しずつ話し合っている段階です。何か皆さんの気づきにつながるような解が出せたら、どこかのタイミングでご紹介したいと思います。