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新型コロナウイルス対策をデータドリブンの側面で考える その1

松田 幸裕 記


新型コロナウイルスが猛威を振るい、全世界で人々の生活に打撃を与えています。

日本では全国で緊急事態宣言が出され、8割の接触削減を目指して各地で自粛要請などが進められています。現時点では5月6日までと期限を切っていますが、その後通常の生活に戻せる可能性は低く、長期戦のプランが見えていない状況が続いています。「この緊急事態宣言期間中でコロナウイルスを撲滅させる」のか、「ワクチン接種が多くの国民で実施されるまでだましだまし自粛を継続する」のか、「今は自粛を続け、ウイルスの感染力が落ちるであろう夏に一気に撲滅させる」のか。どう戦っていくつもりなのかを示してほしいところです。

無症状の感染者が感染を広めることを止めるのは難しいですが、少しでも怪しい症状が出ている人は、人との接触を避けてしばらく様子を見ることが重要ですね。最前線でコロナウイルスの危険性を伝えてきたテレ朝の富川アナでさえ、発熱をしたのに下がったらすぐに通常通り出勤してしまうという軽率な行動を起こしてしまうような現状です。このような軽率な行動をなくすことができれば、かなり感染削減効果があるのではないか、と思う今日この頃です。

前置きが長くなりましたが、コロナウイルスに関連してIT屋として感じるいくつかのトピックに触れてみたいと思います。

 

データの利活用

感染者数や死亡者数、PCR検査数などはデータとして公開されていますが、「どのくらい気をつけて行動すれば、どのくらい安全なのか?」など、行動に関するヒントを示すデータが見えてこないため、どうしても「不要不急の外出禁止」「あれもダメ、これもダメ」というメリハリをつけられない対策になってしまっています。韓国のようなプライバシー問題になるほどの個人情報公開は日本では無理だとしても、感染前の一定期間で「家族以外と食事した回数」「電車で移動した回数」「スーパーで買い物をした回数」など、感染前にどのような行動をとっていたかの傾向を分析するだけでも、今後の長期戦のヒントは見えてくるのではないでしょうか。

以前の投稿「データドリブン経営の実現にむけて その4」で「セルフサービスBI」について触れましたが、データと現場の気づきとを融合させることで分析の効果は最大化されます。個人情報は公開できないとしても、国や都道府県が上記のような行動傾向などのデータを公開し、それぞれの業界で分析して気付きを創出し、その気付きを基に再度採取するべき情報を考え、などの対策を行っていくことも有効ではないかと考えています。

 

データとの向き合い方

ニュースやワイドショーなどで新型コロナウイルスに関する情報が日々発信されていますが、人間が発信するものであるため、多くの情報にはバイアスがかかっています。

  • 新規感染者が減少傾向にあるように見える時でも、深刻さを強調するために「東京都ではX日連続100人超」という見出しで伝える。
  • 若者の感染比率が年代別人口比率と比べてさほど多くない時でも、若者が多いことを印象付けるために「X人中X人が40歳代以下」(「50歳以下」という表現でなく)という表現で伝える。あるいは、1日でも若者の感染比率が多いと「本日は20代の感染が多い!」などと強調する。
  • ある県で感染者が増えていることを強調するために、新規感染者ではなく累積感染者のグラフを使って、右肩上がりであることを印象付ける。

メディアの人々の責任感がこのような発信につながっているのかもしれませんが、自粛を精一杯頑張っている人が「まだまだ深刻な状況!ぜんぜん改善されていない!もっと頑張れ!」というメッセージを聞いても滅入ってしまいますよね。心理的な観点では、「みんなの頑張りのおかげで、少しずつ改善されている!この調子でコロナウイルスに打ち勝とう!」というメッセージもたまにはあってよいのではないかと思います。
 どちらにしても、以前の投稿「データドリブン経営の実現にむけて その2その3」で触れたように、情報の受け取り方によって人間の判断は大きく変わります。このような人間の性質を認識し、数字からしっかり自分で考え、今何が起きているのか、何をすべきかを判断していく必要があると思っています。

一人ひとりができることは小さいですが、できるところから行動を起こし、短期と中長期を考えながら改善していきたいですね。