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「働き方改革」を再考する その3 ~国内出生数90万人割れの現実とどう向き合うか~

松田 幸裕 記


前回および前々回の投稿「「働き方改革」を再考する その1その2」において、日本の企業における働き方改革の現状、日本の労働生産性の現状について触れました。本投稿では、日本の人口減少と働き方の関係について触れてみたいと思います。

2019年12月24日、厚生労働省が2019年の人口動態統計の年間推計を発表しました。それによると、日本人の国内出生数は前年比で5.92%減と急減し、86万4千人となり、1899年の統計開始以来初めて90万人を下回ったとのことです。減少のスピードが当初予測より2年早まっていること、人口の自然減も51万2千人と初めて50万人を超え、わずか1年で鳥取県が消滅するほどの減少であること、など危機感を覚える情報が飛び交っています。少子化、高齢化の問題は社会における多くの問題の根幹にあるともいわれており、この事実が与えるインパクトは非常に大きいです。

合計特殊出生率(1人の女性が一生のうちに産む子どもの数の平均)も徐々に減少しており、2018年は1.42です。この数字が上がらなければ人口は増加していかないのですが、ネットを探索すると、以下のようにいろいろな原因があるようです。

  • 晩婚化による未婚者の増加
  • 晩婚化による第2子以降への躊躇
  • 出産期の女性の人口減少
  • 経済的な問題による多産への躊躇

その中で、データとともに説明されていて最も納得感があると感じた情報はこちらです。

連合総研 月間DIO 2017年9月号 「女性の活躍は進んだか 〜女性たちが直面する課題を考える〜」

ニッセイ基礎研究所 生活研究部研究員の天野馨南子氏の記事によると、現代女性は「結婚したくない」「子供は欲しくない」などとは思っておらず、多くの人が結婚したいと思っており、子供も2人以上欲しいと思っているようです。そして、結婚後も働きたいと思っている女性が多いとのことです。「結婚して、子供も産んで、仕事もしたい」というのが多くの現代女性の希望ということですね。
 さらに、完結出生児数(結婚後15年から19年の初婚夫婦が授かる子ども数)は2015年で1.94であり、過去から見ても大きな減少傾向はなく、政府が掲げる希望出生率1.8よりも多い数値となっているそうです。

このことから、結婚したくても何らかの事情があって結婚できない・しないということが、出生率の低下につながっていると言えそうです。

この「何らかの事情」にはいろいろあるようですが、まだこれ以上の深掘り・腹落ちは私の中でできていません。一旦この段階で、今までで見えてきた中でこの問題の解決策を探ってみたいと思いますが、前述した「結婚して、子供も産んで、仕事もしたい」という女性の希望を満たす社会をつくることが、大きな一つの打開策になるのではないでしょうか。
 少し前の情報ですが、平成26年版情報通信白書に「女性におけるライフステージの理想と現実」という説明があります。子供が4歳以降になってくると、「家でできる仕事」や「短時間勤務」の希望は高まっている傾向にある一方、現実は希望通りの働き方ができていない状況にある、とされています(「図表4-1-2-6 女性のライフステージの希望と現実」を参照)。

リモートでの仕事も含め、技術的にはこの希望を満たすことはできますが、労働時間や成果をどのように測るか、など壁も多いため、なかなか企業への浸透は進んでいないようです。また、以前の投稿「離れて仕事をするだけで不信感は生まれる?」で触れたように、Face to Faceの機会が少なくなる際の副作用なども考慮が必要です。

それでも、そこにしっかりと向き合って、壁を乗り越える努力をするだけの価値があることだと思います。それぞれの企業において働きやすい環境を増やし、日本を住みやすい国にしていきたい。そう思っていますので、今後もこのテーマで具体策を探っていきたいと思っています。