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データドリブン経営の実現にむけて その4

松田 幸裕 記


以前の投稿「データドリブン経営の実現にむけて その1その2その3」において、データドリブン経営の実現につながるのではないかと思う要素に少しずつ触れていっています。本投稿では、ビジネスインテリジェンスの本質について考えてみたいと思います。

最新のビジネスインテリジェンス関連ソリューション(ベンダー)の評価を示すものとして、Gartner Magic Quadrant for Analytics and Business Intelligence Platformsがあります。Magic Quadrantは特定の技術領域における各ベンダーを「リーダー」「ビジョナリー」「チャレンジャー」「ニッチ」の4象限に分けて評価するものです。
 ビジネスインテリジェンスおよびビジネスアナリティクス製品においてここ数年評価が高いMicrosoftは、リーダーであることを自社サイトでアピールしています。

ここ数年間はMicrosoft、Tableau Software、Qlikのみがリーダーの常連になっていますが、実は2015年以前は少し異なる構図でした。その変化は以下のページを見るとわかります。図が小さくて見づらいですが、2015年と2016年で分布が異なっていることはおわかりいただけると思います。

What’s Changed: 2016 Gartner Magic Quadrant for Business Intelligence and Analytics Platforms

この変化が生じたのは、ベンダーの製品戦略や市場が突然変わったためではありません。Magic Quadrantでの評価軸が変わったためです。
 今までは評価基準としてマーケットを重視していたものを、ビジネスでの活用により重きが置かれるようになったとのことです。その結果、セルフサービス機能の使い勝手が良く、導入時の選択肢に柔軟性がある製品のベンダーが高評価になりました。

事業部門の社員自身がデータ分析を行う「セルフサービスBI」というコンセプトが数年前から広がりを見せ、GartnerのMagic Quadrantの評価基準にもセルフサービスBIの重要性が反映されるようになった、ということですね。

ところで、本来ビジネスインテリジェンスとはどうあるべきなのでしょうか?
 ビジネスインテリジェンスのルーツをたどると、おもしろいことがわかります。

ビジネスインテリジェンスという言葉は、当時ガートナーグループのアナリストだったハワード・ドレスナー氏が1989年に使ったのが最初といわれています。その中でドレスナー氏は、データを分析するのはデータ分析の専門家とは限らないと言っています。企画・経営者や一般社員が分析の専門家に頼らずにデータ分析を行い、意思決定を迅速に行うというコンセプトで、ビジネスインテリジェンスという言葉を使っていました。

そう考えると、最近のビジネスインテリジェンスがようやく、ドレスナー氏が言うビジネスインテリジェンスの本質に近づいてきたのだと言えます。

 10年以上前にもビジネスインテリジェンスという言葉が流行り、各社一斉にツールを導入しましたが、ふたを開ければ単なる定型レポート止まりの用途になっていた、という状況が非常に多かったと記憶しています。
 セルフサービスBIという流れによって、ビジネスインテリジェンスの本質である「現場での分析」が実現されることを期待したいです。