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使われない機能がITに多く存在する理由 その2

松田 幸裕 記


前回の投稿「使われない機能がITに多く存在する理由 その1 」の投稿で、理由の一つとして「必要と思われる機能を要件定義フェーズで無理やり押し込む」という問題を挙げました。本投稿では、使われない機能がITに多く存在するもう一つの理由について触れたいと思います。

もう一つの理由としては、「必要ない機能を必要だと思い、機能として盛り込んでしまう」というものがあります。
 必要がないのに必要だと思ってしまうのは、簡単に言えば予測ミスです。しかし、日ごろ業務を行っているユーザーと一緒に要件を整理しているのに、なぜ必要のない機能を必要だと思ってしまうのでしょう?

Webユーザビリティの世界で第一人者と言われるヤコブ・ニールセン氏の、以下の記事にヒントがあります。

ユーザビリティの第一法則? ユーザーの声は聞くべからず

「使いやすいインタフェースをデザインするためには、ユーザーの発言ではなく行動に注目すること。自己申告による主張は信頼性が低い。それは、将来の行動に関するユーザの推測だからである。


要件定義フェーズで「ユーザーの声をしっかり反映させよう」とユーザーの意見に耳を傾けるのは素晴らしいことですが、ユーザーの「こういう機能があったらうれしい」という意見は、あくまで推測に基づいた意見です。これらをすべて鵜呑みにしてしまうと、結果として使いにくくなったり、使われない機能が生まれたりしてしまいます。

ユーザビリティ、ユーザー中心設計の分野で、ユーザーの声ではなく行動に着目する「コンテキスト評価法」などの手法がありますが、この分野以外にも上流フェーズでユーザーのニーズを適切に引き出す方法はありますので、それらをうまく活用してユーザーの真のニーズを把握し、無駄な機能のないシステム開発を実現したいですね。